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その感触に、私はぞくりとした。指先が、まるで私の性器になったかのように、玲子の妖艶な気を吸い上げてくる。腰を中心に、全身が痺れた。知らぬ間に、私はもう一方の手で自分を刺激していた。とろけるような、いや、煮えたぎるような熱い感情が急激に膨らみ、私は再び精を放った。
だが、脱力感に包まれている私の中に、何かが残っているのを感じた。ほんの些細なものなのだが、やけに気にかかった。何だろう。それは、妖気とともに玲子から吸い上げたものなのだろうか。
突然、得体の知れぬ黒い塊が私の心の奥底からこみ上げてきた。それは瞬く間に膨れ上がり、私の感情を支配してしまった。そして、とうとう玲子の前で、私はその非人道的な言葉を口にしてしまった。
「妻さえ、妻さえいなければ、私は君と」
「私は君と? 君と、なんなの?」
私の指の戯れを虚ろな目で楽しんでいた玲子が上半身を起こした。目の前のものすべてを、その奥深くに吸い込んでしまいそうな瞳で、私をじっと見つめる。
「君と……いや、なんでもない」
私は目をそらせた。指の動きが止まっていた。いや、微妙に震えていたのかもしれない。
「ふふ。やっと決心できたのね」
玲子の声が、雫の垂れそうなほど濡れ光った唇から滑り出た。
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