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午後七時
暗暗とした空の下、述べ数十人もの部隊が重装を纏い集結していた
「…来なかったな」
湯之浦の発言に、西堂は黙して答えた
「…待ってる時間はねえぞ」
「…ですね」
「よし、行こう」
相模原の言葉に、全員が息を殺し武器を構えた
指で合図する相模原に合わせ、波状的に三部隊がクラックアップルのアジトへと突入してゆく
アジトは都内の地下駐車場から更に地下に降りた位置にあり、入り口は三箇所あるがどれも狭いつくりになっていた
その三箇所に同時に三部隊が突入することで撹乱させる作戦である
案の定、中にいた者達はどよめきだっていた
「蟻共が…!死ねえ!!」
湯之浦が構わず銃を乱射する
「おい、無闇に殺すな!」
「殺してねえだろ、よく見ろ」
乱射しているように見えて、全員大腿部や上腕部を撃ち抜かれていた
「…流石だな」
無数の銃弾が飛び交うが、どれもやはりバスターには当たらない
「手応えねえな!」
「…幹部は一人もいないな。一体どこに…」
「…そういや音村も二唐木もいないな…それに…」
リーダーの宇和島がいないことに、部隊は一抹の不安に包まれていた
宇和島と共に幹部がいるとしたら、手練れ達はそちらに集まっている可能性がある
今アジトにいる烏合の集をいくら叩いてもまた組織は再結成されるだろう
「…まずいな」
相模原の口からもそんな声が漏れる
そんな時、西堂の携帯に着信が入った
「はい…はい…わかりました。すぐ向かいます」
「…誰だ?」
「少し用が出来ました。ここは任せます」
「…わかった」
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