掃討

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店の営業が終わりに差し掛かった時、西堂からの着信により駆けつけた小真知はこちら側の状況を簡潔に聞いていた 「悪いけど通さないよ」 「どうしますか?」 「轢け」 低いトーンで助手席の男が言った 「うっす」 車は急発進し小真知と深澤を轢こうとした 「おいおい」 「マナーのなってない奴だ」 身をかわし、脇をすり抜ける車のタイヤを狙い深澤が銃弾を撃ち込んだ 「なっ!!」 機体がガクンと下がり、ハンドル制御が効かなくなった車はスリップし壁に激突した 「…まだ持ってたんだなそれ」 深澤の手にあるものに向かって小真知が言った 「…断捨離できない派でな」 「しつこい男は嫌われるぜ」 「生憎女性には困った事がない」 嫌味ったらしく鼻で笑う小真知 車からゾロゾロと男達が降りて来る 「…殺すぞこいつら」 全員が一斉に銃を構える 「物騒な奴等だな」 「宇和島さん、先に行ってください!ここは俺達が」 手下らしき人物が前に出て来る 「わりいな」 悪びれた様子もなく、宇和島はセオスの部下一人とその場を離れる 「逃げられるな」 「仕方ねえよ。こっちを先に片そうぜ」 「言うじゃねえか小僧」 「…小真知、先に行け」 「…いけんの?」 目配せしながら小真知が言った 「全く問題無い」 「相手は多分…クラックアップルの幹部だぞ」 宇和島を除けば、その場には六人の人間がいた 「そうだな、不安か?」 「…んなわけねえだろ」 それだけを言い残し、小真知は駆け出した 「何者か知らねえが随分な自信だな。クラックアップルを知らねえわけじゃねえだろ」 「俺を知らないか。優しい時代に生まれたもんだな…」 「知らねえよてめえなんざ!!」
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