夕凪鷲里

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「一般人だぜ…勘弁しろよ」 「しねえよ」 両腰に提げた歪曲したシックルを両手に構え、宇和島はニヤリと笑みを浮かべた 「…そんなん持ってっから捕まるんだよ」 「肉を切る感触がたまらねえよ!!」 「!!」 空を切る刃先は小真知のすぐ眼前まで迫っていた ギリギリで見切ったが、前髪が少しシックルに巻き込まれ刻まれた 「あっぶねえ」 「どうやって戦うつもりだ?丸腰でよ」 「来いよ」 「言われなくても、な!!」 懐に低い姿勢で潜り込み下から刈り上げる 紙一重でかわし、顔に蹴りを入れる小真知 「ぐっ!」 続けざまに腹部にも蹴りを見舞う 「速いな…成る程…こりゃすげえ!俺のシックルを見切るとはよ」 「どうも…」 「夕凪が言うだけあるわ」 話しながらも猛撃が繰り出される 全て紙一重で避けながら隙を探る小真知 「防戦一方か!?」 「いんや」 その刹那、小真知の回し蹴りが宇和島の顎を捉えた 鈍い音を散らしながら顎が歪み、宇和島は意識が飛びそうになった 「やべー!!」 「浅かったか」 「いい体捌きだな!俺にここまで当てる野郎は珍しいぜ」 「だが、そろそろエンジン掛かってきたわ!」 先程よりも一段速く、宇和島の刃が襲いかかる 「うおっ!!」 よろめく小真知 「終わりだ!!」 そこにすかさずシックルが振り下ろされる 甲高い音が響く 小真知の体と刃の間に、ベルトのバックルが干渉していた 「バックルで…!」 「死ぬかと思った…」 バックルにガッチリと刺さった刃は抜けず、小真知はバックルを引っ張り宇和島の態勢を崩した 「!?」 そこに、小真知の肘が飛び込んだ
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