2人が本棚に入れています
本棚に追加
確実にダメージを与えた小真知
だが宇和島の目はまだ死んでいなかった
「てめぇえええ!!」
怒り心頭で襲いかかる宇和島
「小真知さん!」
小真知の手元に何かが投げ込まれた
それをキャッチし、宇和島の眉間に押し込んだ
「ガチッ!!!」
その音が脳にまで響き、宇和島の手が反射的に止まった
「…おせえよ西堂」
小真知の手に構えられた銃は、宇和島の動きを完全に止めた
「だがまあ…俺の勝ちだ」
弾丸が撃ち抜かれる。
そう思ったが、弾は発射されず小真知の渾身の蹴りが炸裂し宇和島の意識を奪った
「…久しぶりだ。銃を持ったのは」
小真知はシュリを見つめながらそう言った
「…やるか?」
何人もの隊員が現れ、シュリのアジトらしきビルを
包囲した
「……今日のところは引こう」
「アジトは完全に包囲しています。逃げられませんよ」
「…間抜けどもだ。中を見てみればいい…誰もいないがな」
「!?」
最初からビルにはシュリしかいなかった。ビルはアジトでもなんでもなかったようだ
「……」
暫し視線をかわした後、シュリが告げた
「…次は、殺す」
「…忘れるな。お前の罪…いつか俺が断罪する」
「……ああ」
上空からヘリが現れ、シュリをさらってゆく
「追いますか!?」
隊員が西堂に聞くが、追わないように手で合図した
「…今日はやめましょう。下手をすれば、全滅しますよ」
「え…?この人数が??相手は一人ですが…」
西堂はそれ以上は何も言わなかった
その場に佇む小真知は空を見上げ、その瞬間曇天の中に一縷の雨粒が降り注いだーーー
それはまるで、はたから見れば彼の流した涙のように淡く、幽かに映った
最初のコメントを投稿しよう!