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二、前菜一皿目
ピジョンラミエとフォアグラのパテアンクルート
お肉? メイン? と一瞬でも思った頭の悪さを告白しますよ、ロバの耳。パテはスタンダードな前菜だバカヤロウ。
肉料理ですよね? そうですよ、パテは肉料理ですよ。メイン料理にお肉を頂くことは多いですが肉料理がメインだとは限らない。アンクルート(パイ包み焼き)だからいけない。野鳩とフォアグラだからいけない。いけなくない。大歓迎です。たぶらかされているようにも思えますが……
メインとか前菜という呼び方も混乱を招きます。混乱しちゃった頭の悪さを告白しますよ、ロバの耳。塊肉の火入れに時間を要すのであって、前菜は断じて時間稼ぎではありません。自由に趣向を凝らしたお皿の数々の、なんと美しいことか。
型に入れて焼くとは言えパイです。焼けば膨らんで浮き上がり、さめて凹みますよね。隙間はここですか。きれいすぎる。完璧な火入れの魔物がいます。その仕業か、手の内のものにやらせたのか。きれいすぎるのは切り口も。こちとらプロだぜと叱られそうですが、素直になれない。
野鳩の締まった赤い肉質、蕩けるフォアグラ。質の違うものを、パイで、包んで、焼いて、成り立つのですか。目の前で成立するものの前に、問いは無意味に透過するだけ。
葉っぱは酸を施され鮮やかで、重みを華麗にリフトする。バレエ。このメリハリがディナーミク。
怒ってないですよ。びっくりしたんですよ。楽しいですよ、料理人に驚かされるのは。怒っていませんよ。ただ、時々怖いんです、飲まれるようで。
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