ヌーヴェルエールのいまむかし

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 初代シェフの時代に初めて行きましたがたまたま毎回火曜日でした。ちょうどシェフの公休日。無休のお店ですから、お休みをちゃんと取っていただくことが安心材料となりました。シェフ不在の日を明らかにし、コースの構成を絞って無理のない営業をなさることが誠実に思えました。予約の際には大変な気遣いを頂きました。  当時のスー・シェフ(※1)が二代目のシェフとなり、パティシェール(※2)出身らしい、デセールのごと繊細なお皿の数々にときめいてきました。が、後に伺ったところによれば初代の路線を概ね引き継いでおられたのだそうです。 (注釈) ※1 スー・シェフ=二番手、シェフの右腕。 ※2 菓子職人。文法上ではパティシエの女性形   ◇当代  さて佐々木シェフに代替わりしてから。大雑把に言えばダイナミックな料理に変わりました。  ダイナミックとは何ぞやとふと立ち止まり考えた。音楽をする人なら「ディナーミク」の語を想像して欲しい。強弱記号を総称する場合もありますが本意は強弱でつけるめりはりのこと。強さとかマッチョというニュアンスとは区別したい。  レストランの方向性が変わったとまで感ぜられないのは、普遍の一形態だからであると私は解釈しています。「今まで」と「今」を俯瞰して観れば繊細さの宿る場所が動いたと思います。  身も蓋もない言い方をすればおいしければそれが何よりで、変わらず機嫌よくいられておりますホトトギス。    ◇料理人の特権  料理人には特権があります。     
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