ラビットフット

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ラビットフット

建築士、宇田川快と知り合ってもうすぐ半年がたちそうだ。 相変わらず宇田川は、よくふれあい動物園にやって来てはふにゃふにゃと小動物と戯れるのが好きなようだ、そして俺、江崎芳哉は彼の知人と友人の合間のような立ち位置で彼と付き合っている。 ーーしっかし、休みに職場はなぁ~ 宇田川の提案で江崎の職場で会う事になったのは仕方がないとしても… 職場の知り合いに目礼だけする。含み笑いされてる気がするが無視する。 ふれあい動物園が終わった、そろそろ早い昼でも良いだろう。 「宇田川さーん、飯食いませんか?」 まぁ、園外に暗に出たいってだけなんだけど。 「江崎が嫌じゃなかったらお土産売り場の近くで食べたいんだけど…」 「分かりました、何か欲しいもんありました?」 「無いかもしれないからいいんだ」 6月、運良く晴天で気温もそこまで暑くない。 土産売り場と出店で食べ物を買う。宇田川が食うぶんも頼まれた江崎は等間隔に並ぶ安っぽいテーブルに二往復して食い物を並べた。 江崎がアイスティーを飲んでいると、宇田川がリボンの付いたひと抱えあるウサギのぬいぐるみを抱えてきた。 「ーープレゼントですか?」 意外と冷静な声が出た。 「違うんだ…」 白いウサギを抱え直しながら答えた。 「ウサギの足が幸運のお守りって知ってる?」 「いえ」 「ある映画でね、学生時代から付き合っていたカップルがいたんだけど社会人になって忙しくなって別れるんだ彼に別れ際自分の荷物の白いウサギの縫いぐるみの足を引きちぎって渡して"幸運を"って」 「で、うまく言えないんだけど、その映画の新作試写会のペアチケットを貰ったんだけど一緒に行ってもらえる人が居なくてね」 「このウサギの足とチケットを一緒に渡したら格好いいかなって?」 表情筋がニマニマする、一緒に映画に行きたいって簡単に言えばいいのに。 「一緒に映画に行きますよ」 「幸運はいらない?」 「俺を思ってなら全部もらいますよ、足だけじゃなく」 「幸運のお守りにはならないよ」 「貴方が願ってくれれば充分です」
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