ひとつだけ、君に言葉を贈らせて

転校生

　……そうだ。普段どんな本を読むのか聞いてみようかな。

「ねぇっ、昴って本読むんだよね。いつもどんな本読んでるの？」

「うーん、そーだなー、色んなジャンル読むからなー…」

　昴は人差し指をあごに当て、少し上を向いて考えている。

「ミステリーや、ホラー系が多いかなー」

「あっ、私も結構ミステリー系好き！」

「ほんと！？一緒だね、あと恋愛系も結構読むかな……」

　昴は右頬をポリポリとかき、少し恥ずかしそうにした。

「そんなに恥ずかしがることないよ、今時男子でも読むって」

「あははは、でもやっぱり恥ずかしいな」

　崩した微笑みで、私の方を見てきた。