ひとつだけ、君に言葉を贈らせて

転校生

　授業中、私の席まで小さな手紙が回ってきた。陸人の方を見ると、「みてみて」と口パクで合図してきている。

　私は折りたたんである手紙を広げ、中を見た。　

『今日の放課後、飯食いに行こーぜ。これ昴にも回して！』

　今日の放課後…特に用事もないしいいだろう。それにしても、汚い字だな、高校生なのに呆れてしまう。

　私が振り返り、昴にこの手紙を渡そうとすると、昴はノートも開かず、窓の外を眺め、何か悲しげな表情に見えた。

　昴は私に気づき、「ん？」と首を傾げた。私は陸人からの手紙を渡し、前に向き直した。

　その手紙を確認した昴は、陸人に手でOKのサインを送っていた。