ひとつだけ、君に言葉を贈らせて

転校生

　放課後になり、陸人が昴に駆け寄った。

「昴ー！この後時間ある？あるなら学校案内してやるよ！」

「うん、時間あるよ。じゃあしてもらおうかな」

「よっしゃ、決まりな、優希と佳織も一緒に回ろーぜー！」

　こっちを向き、「おーい」と手を振って呼ばれたから、私達も一緒に回ることにした。

　体育館、保健室、音楽室など、話をしながら端から歩き回る。

「3人はさ、結構仲いいけど中学から一緒なの？」

　昴が聞いてきたことに対し、佳織が答えた。

「ううん、あたしら皆違う中学だよ。でも高校生になってから同じクラスなのよ」　

　昴は「へぇー」とした顔で、佳織の受け答えを聞いていた。