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 抱えていた洗濯物をテーブルの上に広げると、彼はそれらを丁寧に畳み始めた。アイロン掛けが必要な衣類と、そうでないものを分別し、鼻歌交じりにふかふかのタオルを手際良く畳んでいると、広げられたタオルの下から覗く薄紅色のリボンが目に入った。  彼の手が止まり、頬にほんのりと赤みがさす。指先でリボンの端をつまみ、手元に引き寄せた。  淡い色の花柄の刺繍で彩られた、手触りの良いアイボリーの布地の、その両サイドに薄紅色のリボンをあしらった可愛らしいデザインのショーツだ。  いつもは飾り気のないシンプルな下着を着けている彼女だが、験をかついでいるのか、重要案件の節目になるとこのような所謂勝負下着を身に着ける。  結婚して一年近く、度々目にしてはいるものの、この勝負下着には未だに慣れない。  契約上の関係なのだから、彼女を女性として意識しても虚しいだけだというのに、目の前にある可愛らしい下着を身に着けた彼女の姿を思い浮かべ、つい“そういうこと”を考えてしまう。
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