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彼女の婚約者は、父親が勝手に選んだ、とある有名企業の御曹司だった。エリートコースから外れたことがない優秀な男性で、容姿も良く、はたから見れば羨ましい限りの結婚相手だったと思う。
彼女と結婚させて、その男を彼女の代わりに社長に据えることが、父の望みだった。
だが、彼女の婚約者には隠れた問題があった。彼女は後にそれを知って、婚約者に激しい嫌悪感を抱くようになった。
彼は、小児性愛という特殊な性的嗜好をもっていたのだ。
大学を卒業し、父の元で経営学を学びつつ働いていたその頃の彼女にとって、夫婦とは共同経営者であり、例え特殊な性的嗜好を持っていたとしても、会社を経営する上で最適な相手であれば問題はないと、彼女は認識していた。
そう自分に言い聞かせていた。
けれども、彼女は婚約者に対する嫌悪感を払拭することができなかった。一生を添い遂げる相手がこの男で、本当に良いのかと思い悩んでいた。
そんな折、会社のビルのエントランスで、彼女は彼と再会した。
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