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『どうでもいい長文メールを送るな』  メールの本文に目を通し溜息をつくと、彼は大きく伸びをしながらソファから立ち上がった。  結婚してからこれまで、彼と妻はゆっくりと話をしたことがない。週末も碌に休みが取れない彼女と直に話ができるのは朝食の席ぐらいだ。  せめて自身の想いだけでも伝えることができればと、日に一度メールを送ることにしているが、彼女からの返信はいつも素っ気なく、良い返事が返ってきた試しはなかった。  それもその筈だ。二人は愛し合って結婚した夫婦ではない。  この婚姻は、彼女の願いを叶えるための契約上のものなのだから。
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