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 夢うつつに彼女の声が聞こえた気がして、彼は瞼を開けた。  心なしか心配そうに彼の顔を覗き込む彼女と目が合い、慌てて飛び起きる。  また眠ってしまっていた。  今の時刻を確認しようとリビングの壁時計に目を向けると、時計の針は既に二時を回っていた。 「すみません、あなたが帰ってくるまで待っているつもりだったのに、つい眠ってしまいました」  仕事で深夜まで働き通しの彼女をよそに眠りこけていた自分を恥じて、彼は慌てて謝罪の言葉を口にした。  彼女は無言で首を振ると、夕飯は外で済ませたこと、今夜はシャワーを浴びてそのまま寝ることを彼に告げ、自室へと向かった。  彼女の背中を見送り、彼はダイニングテーブルに目を向けた。テーブルの上に置かれたままの、手のつけられていない彼女の分の夕食を確認すると、それらを手に取りキッチンに向かう。  朝食は彼女と同じものを食べたいから、残り物は明日の昼食にでもすればいい。家計には充分な余裕があるが、元々裕福ではなかった彼は食べ物を簡単に捨てる気にはならなかった。
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