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『わたしも、愛しt』  そこまで入力してはたと指の動きを止め、しばらく考え込み、彼女は素早く指を動かして本文を書き直した。  顔を火照らせたまま、ちょっぴり不機嫌そうに唇を尖らせて、返信メールを送信する。 『どうでもいい長文メールを送るな』  本当は滅茶苦茶に叫び声をあげて転がり回りたいくらい嬉しいのに、彼女は素直な気持ちをメールで伝えることができなかった。天邪鬼な自分の性格が恨めしい。  あんなメールを送ったら誤解されてしまいそうなものだが、彼からのメールに素っ気ない返事を返すのはいつものことだったし、今夜は久しぶりに一緒に食卓を囲めそうでもある。ゆっくり話す時間さえあれば、少しは素直に好意を伝えられる筈だと彼女は考えた。  椅子から立ち上がると上着を羽織り、高級な革のバッグを手に取った。部屋を出ようと彼女がドアノブに手をかけたそのとき、軽いノック音がしてドアが開いた。  帰路に着く直前の彼女に向かい合い、彼女の秘書が軽く頭を下げる。
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