第一章

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「誕生日おめでとう!」 ありがとう! 私は夫に感謝の言葉を言った。夫は私の言葉が耳に入ったのか少し笑っていた。 って、ちょっと待ってよ! 「お、我が息子よ。…とうとうローソクの火を一息で消すようになったか。」 「でしょ?誉めて誉めて!」 「あぁ、凄いね」 ちょっと待ってぇえ!本来ローソクの火を消すのは主役の私なはずだぞ!?WA.TA.SHI!あれ?私の優しい夫が息子にナデナデしてるよぉぉ?あら、やだ嫉妬しちゃうわ。息子は可愛いけど…ゆ る さ ぬ。 てな訳で、今日は私の誕生日パーティーです。年は内緒よ。何回やったのも内緒よ。 そして、夫は部屋の電気を付けてローソクの煙を手でパタパタと追い払っていた。追い払って煙が私の方に匂いがする。…ん?煙が? って、うおい!煙を私の方向に向けて払うなあぁあ!臭くなっちゃう。 「さ、息子よケーキを食うぞ!」 「うん!」 そして、夫は八等分にしていたケーキを息子の皿にソッと移し、次に私の皿にも移した。…うむ、形も崩れてないし、綺麗に仕上がっている。 流石私の夫ね。……因みにこのケーキは夫が作ったとかで、愛情100%入っているケーキなのよ。 え?夫を交換してくれって?夫をくれって?だが、断る。 「ね!食べて良い!?」 高級感極まるケーキをキラキラした目で夫に言った。なんで夫に聞いたの?今日の主役の私に聞くべきだろ、っと私はツッコミを入れたい。 そして、夫は息子を見て……そして、私の居る所を見た。 「それは今日の主役の……お母さんに聞いてみなよ?」 「うん!そうだね!」 そして息子は私の方向に向き 「食べても良いかな!?」 私の遺影がある所に声を出した。にっこりと笑って、まだ若い私の写真がそこにはあったのだ。 息子は私の遺影をジッと見ていた。そして、ウンっと頷いた。 「……ん、分かった!」 「なんて言っていたの?」 「沢山食べて大きくなれって!だから、このケーキも食べても良いんだって!」 「あははは、彼女らしい!」
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