知らないカミサマ

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 昔々、一つだけならなんでも願いを叶えてくれる神さまがいました。  でも、神さまは疲れてしまいました。だから神さまはいなくなってしまいました。  みんなそれを知って、あきらめました。  でも人は、あきらめられなかったのです。  願いを叶えてほしくて。どうしても、叶えたくて。  人は願ってしまったのです。  ――カミサマ  カミサマはどんな願い事も一つだけ叶えてくれます。  カミサマはそのために生まれました。そのためだけに、カミサマはいるのです。  生まれてしまったカミサマは、ただ願いを叶え続けます。  何が起こるのかもわからないまま。それがいいことなのか悪いことなのかもわからないまま。  ただ願いを叶え続けるのです。  だって、そう望まれたから。  カミサマは、何も知らない。
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