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ある日、ふいに予定していたことが取りやめになってしまい、時間が空きました。
もちろん、その時間を使って別の仕事をしてもいいのですが、ふと、家に帰ろうと男の人は思いました。
そういえば、もう随分と長いこと家族の顔を見ていない、ということに気がついたからです。
男の人は秘書に、車の手配をするように言いました。
用意された車に乗り込み家へ向かうと、見覚えのない道を通っていきます。
不思議に思った男の人が秘書に尋ねると、昔買った家はとうに売り払われ、新しく購入した家へと向かっているのだという答えが返ってきました。
なるほどたしかに、買ったときは大きくて立派だと思いましたが、今ならもっと大きくて立派なものがふさわしいでしょう。
家族がほしがったものなら何の問題もないと男の人は思いました。
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