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それから私は彼女とあっという間に仲良くなった。
週に数回ほどお茶をする仲になり、それによりお互いに同じ”いい”という珍しい名前だということが分かり更に私達は距離を縮めていく。
既婚者子持ちである彼女は早々の恋愛結婚だったらしく単身赴任のご主人とは未だ仲が良いらしい。
一番上の娘さんは18歳の高校3年生、顔を合わせることが多くすっかり私も仲良くなってしまった。そして
いつも友達と出かけるだの何だの言ってすぐに家を出て行く姿ばかり見かけている気がする。
そんな姿を見て、こう見えても私って娘に依存していてね、子離れ出来ないのよ。いつまでも家にいてくれたら良いのね。なんて、笑いながら話していた彼女のどこか寂しそうな表情。
ざっと計算したところで20歳頃に出産したのか、それだけで世界が違って見えたし、これまで関わったことのないタイプの人で正直ものすごく興味があった。
年齢が離れていても特に会話に困ることもなく、趣味も多く話しているだけで楽しい、料理もとても上手くお菓子もご馳走してくれて、尊敬していた。
そうして気が付けば季節は6月の梅雨時期。
桜が咲き始めていた3月後半に現れたこの人と知り合ってから三ヶ月近くが経とうとしていた。
いつものように世間話を繰り広げているとふと家庭環境の話題になり、29年間生きてきていい加減この流れにも慣れている私はいつものように明るい口調でシングルマザーの母のことを何気なく話す。
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