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夕方目を覚ますと既に瑠里は服を着替え終わり、お茶漬けかき込みながら漬物をバリバリ摘んでいた。
「凄い張り切ってるじゃん、夜勤楽しそうだね」
「まぁね、やる事も一杯あるから」
工事現場の親方バリの貫禄オーラが出ているのが逆に心配になってくる。
妹も同じく人見知りなのでクラスに馴染めてるかは不明だが、唯一の救いは短期留学の内容が『農作業』なのでついて行けない事はない。
ただ、もし妹が調子に乗ってしまうと忍者探偵の時みたいに、周りの者が合わせるという犠牲を払う事になるが、そこまで溶け込めてないと信じたい。
私まで支度をしていると不思議そうな目で見てきたが『呼び出し』と親指で合図すると頷いた。
母には残った仕事を片付けるといい、二人で出ようとすると我が家の王子二匹が『連れていけ』とジャンプでアピール合戦をしていた。
「姉さんは途中で帰るしいいんじゃない?ジャンプの高さが半端ないから、その内一回転始めそう」
「そうだね連れて行こ……分かったって!」
ドラム缶にリードを渡され、少し前からお出かけ用の服に着替えていたので、三人ぐるみで計画的な作戦をとったようだ。
「キセロまた塵里にチクっててさ、テレパシーみたいなので会話できるらしいから気をつけた方がいいよ」
「マジで!優秀じゃん……でも般若にボコボコにされないように気をつけてね」
「気をつけるのそこじゃねーだろ」
夜祭の日は無事に帰れたとかポテトが美味しかった等、少し話をしているだけで徒歩五分の道のりは終わり品質管理受付についてしまう。
瑠里は私服のままだが、私は後でトレーニングをして帰るつもりなのでロッカーでつなぎに着替えていた。
部屋には久々にリーダー達もいたが、何となく沈んだ顔をしていて変わらないのは和音さんだけのようだ。
「どうしたんですか?腹具合良くない悪党みたいな顔して……」
「相変わらずお前達の言葉は冷たいな、心配ってゆーより悪口にしか聞こえねーよ」
こういう雰囲気の時は『女性関係』でフラれた可能性が高いので、掘り下げない方が正解だと察しがついていた。
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