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「朝霧チームは『萌葱刺繍』となり、内容はほぼ変わらんが敵のレベルがちぃーっと上がったり、ヘルプの回数が増える程度。給料はキープされ、ヘルプでは手当が追加されるシステムじゃし文句ないじゃろ?」
メンバーも内容もさほど変わらないなら特に文句はないが、社長のいう『ちぃーっと』はどの位なのかは気になる。
「死ぬ確率がグンと上がるならお断りですが、そんな大差ないなら社長達の顔を立て、もやし色になってもいいですよ」
「萌葱だって!」
聞き慣れない色で瑠里が『もやし』と間違うのも無理ないし、白のイメージのもやしは無色よりちょっと色があるのでランクアップしたと分かりやすい。
「私もやしでもいいですよ、なんか合ってる気がするし、食費に困った万能アイテムでいいですよね」
「ふざけんな!俺は嫌だぞ『春に萌え出る草木の色』って季節柄ピッタリだし考えられたんだなってちょっとは喜べ」
「十二色の色鉛筆にない色なんて知らないんだよ!分かりづらいしピンクとかまだ可愛い色が良かった」
啄と私は言い合いをし、瑠里は社長にもやしに変えないかと提案していたが『バンッ』とリーダーが机を叩くと部屋がシーンと静まった。
「このチームは今日から萌葱だ。お前らはどう見てももやしとは程遠いし、白刺繍は既にあるから被る。会議で決まったんだし文句言っても無駄だろ」
瑠里は時間が来たので学校に向かうとパネル部屋に行き、社長は残ったメンバーに新作の商品とコーヒーを振舞ってくれた。
「で、萌ちゃん達に頼みたいのは今日からフクロウの世界で『収穫祭』があるから、客としてフラッと混ざって欲しいんだけど……」
「社長、俺もいるんで『萌ちゃん』気持ち悪い」
「私はワンコ達いるしトレーニングもしたい」
断ってるにも関わらずキツネ面は澄ました顔で、カットしてトーストされたパンにジャムを塗っている。
目の前に置かれたが、普通のジャムらしからぬ何かが入ってるように見え食べるのを躊躇していた。
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