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つなぎの上からフード付きパーカーを着ているが余所行き感は全くないし、母の田舎にこんな姿の人がいてもおかしくない。
頭にはキャップで背中にはリュック……農作業が終わって帰りに寄りましたで違和感がないレベルだ。
扉を潜ると学校の端側に出たが、猿の世界と違いホラー映画に出そうなだだっ広い洋館といった造りに一人じゃなくて良かったと心の中で思った。
大きな門からポツンポツンと明かりは見えているし、木々の間にウェルカムボードも下げられている。
お祭りの気分の装いは分かるが、見上げると木に誰か座ってこちらを見下ろしているし、山吹色に光る瞳は逆らうと二度と帰れないような気がして背筋に緊張が走る。
夜なのもあり殆どの生徒が色んな瞳に光ってるので逆に何人間か分かりやすいとも言える。
だがビクついてたのも初めだけで、歩みを進めて行く内に観光気分に変わっていた。
花壇には花が咲いていたがボンヤリと光を放っていてちょっとした照明みたいで幻想的だった。
特に白と黄色の小さな花は可愛くて思わず足を止めてしまった。
「珍しい物多いでしょう、中には作物もあるので楽しめますよ?」
フクロウと言えば夜行性だし、木の上に座ろうが見下ろす目がギラついてようがチャームポイントだと思おう。
二度と味わえない景色を下を向いて歩いてたら勿体ないと貧乏根性が生まれ、それからは周りの花をゆっくり見て奥へ進んだ。
洋館は途中で別棟が出てきてが、収穫祭が行われてる方はリボンやバルーンで装飾されてるので道に迷う事はない。
恐らくあちらは講義が行われたり普段生徒が使う場所だろうが、明かりがついていないのでパット見はそびえ立つドラキュラ屋敷といった雰囲気だ。
市場と書かれた場所に人が集まり、採れたての野菜をカゴに入れる光景は、こちらの世界と何ら変わりはない。
隣には屋台がありそこも賑わっていて、洋風造りの道の駅に観光客が来てます状態で、少しワクワクしていた。
食べ物の匂いと言えば王子達の方がずっと過敏なので、ジャンプを始めたらマズいと二匹共抱っこしてリードも短めに持っていた。
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