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「こっちは『華と癒しキャラ』がいないんだよね、苗のコーナーに女子配置したから。ちょっと手伝ってくれる?」
姉だろうがペットだろうが容赦なく商売道具に使おうとするのを見て『瑠里は商人も向いてるかも』と新しい発見が芽生える。
瑠里に着替えを指示され、カーテンで仕切られた場所に入ると簡単に着脱出来る着物を被り、用意されたメイク用品を使って戻った。
瑠里達はオニオンリングの店番で忙しいそうだったが「スイーツに回って」と指令が下された。
イナリ達はベビーヘッドアクセをつけ、商品の近くで愛想を振りまくと並んでる女子達が放っておく訳もなく既に人気者だ。
待ち時間も苦にならないだろうし、王子達からすれば『当然だろ』という気持ちを押さえて『つぶらな瞳アピール』でキュン度合いをアップさせていた。
恐らくこの作戦は性格が悪いキセロが教えたに違いないが、商売的には何往復して並んでくれる子もいて成功だと言える。
「可愛いお姉さんがおると買いたくなるの……」
じーさんとはいえお客には間違いないのでにこやかに対応していると、その後ろに見た事のある顔が覗いたので思わず動きが止まる。
「こんばんわ、報告受ける為にこっちの様子見に来たんですが、まさか出会えるとは……おやキセロも楽しそうで何よりです」
「ええ、塵里さんも楽しんで行って下さい」
「因みにあなたと同じクラスの紫紺さんもお供の人と来てました」
ギクリとして一瞬帰ろうと思ったが、ここへは執行で来てる訳じゃないし、前に妹は見られたが毛布を頭から被っていた。
社長と一緒じゃなければ大丈夫だし、これだけ人がいるので何とかなるとは思ったが、心配性な一面が覗いてきてリーダーにメールで知らせておいた。
売り上げは上々で、小さい子供からお年寄りまで網羅されている屋台のチョイスは良く、怖い雰囲気のフクロウの生徒も忍者の格好のおかげで払拭されている。
イナリ達に至っては看板キャラ並みに人が囲んでいたが、休憩の合図が入った途端リアクションのスイッチはオフになり笑いが出そうになる。
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