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「そんな悪魔はいけないって目が覚めて……もっと普通の男性探そうって思いました」
「まぁ他人からしたらダメ男でも恋は盲目っていうからね。よく決心したよ、百合偉い」
「蘭もよく変なのに捕まるもんね」
アイリスさんの何気ない一言に蘭さんは冗談のつもりで口を塞いだが、窒息するかと思うくらいの怪力で後ろに倒れている。
「もう、二人ともフザケてないで桜餅食べようよ」
そんな光景を見ても全く動じないマンダリンさんの反応だと、これが普通らしい。
きっと職場の狐二匹が見たら距離をあけるに違いなさそうだ。
「そう言えばダリ、ペット飼うって言ってなかった?」
三個目の桜餅を頬張ってお茶を飲むと蘭さんが聞いた。
「うん飼い始めた、赤術でね!今日見せようと思って」
女子の話ではありがちな話題が逸れていくパターン。
恋話から最終的に全く関係ない方向で終わってもそれでいいのが女子で、男性みたいに合理性を求めないヌルさもいい。
「赤術……?」
不思議そうに聞いても、マンダリンさんこと『ダリさん』は優しく教えてくれた。
異世界では色や動物の名で魔術というか武術を使われていて、平たく言えばイザリ屋の能力みたいなものかもしれない。
ゴリラ人間は強いのは勿論らしいが、赤術を使うことで相乗効果が何十倍にもなるらしい。
女性で使えるには条件があるらしいが、三人ともクリアしてるようだった。
「皆さん……凄いんですね」
「まぁ男に恵まれない分、違う才能位与えてもらわないと不公平でしょ」
確かに私達も貧乏だったが、授かった能力のおかげで新しい住処やご飯が食べれるようになっている。
「百合は見た感じだと、簡単に首の骨折れそうなお嬢さんだけど、何となく同じ匂いがする」
「えっ、試さないで下さいよっ?!姉さん方の足元にも及びませんので」
驚いた素振りは見せたが、本当に襲ってこないのは分かるし確信すらある。
なんで初対面でこんなに信用してしまっているのかも不思議だった。
私達のグループの周りにも会話を楽しんでる女性達は沢山いるが、色んな種類の人間が和気あいあいとしている。
その中で蛇人間のような女性が縁結びのお守りを買わないかと勧めていたが、驚くほどみんな簡単に財布の紐が緩んでいた。
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