言い訳の女子会

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「ーーバグッ!」 まだきちんと紹介もされてないのに、瑠里がつれている大蛇の一匹が竜を飲み込んでしまったのだ。 「おい――っ!マジでどうにかしろや!」 血の気が引きながら瑠里の胸倉を掴む。 ゴリラ女子のペットが食べられてタダで終わる筈がない。 抹殺されるか、一生奴隷として地下倉庫で石臼を回しながら生活する羽目になるかもしれない。 「姉さん苦し……い!見て、おふざけしただけだから」 瑠里は大きな柏餅の石を出し、飲み込んだ大蛇に投げつけた。 鈍い音と同時に九の字に折れ曲がると、竜を吐き出し又元通りにそよそよと空を泳いでいる。 「ホラ!この子達しつけられてない野良だし、許してあげてよ」 「犬猫のレベル違うやろが!野良大蛇なんて怖くて拾えるか!元の場所に返して来い!」 ギラギラとした目で妹を睨むと、気のせいか大蛇達が瑠里の背中の方に移動してる気もする。 「いやいや、隠れられてねーし!一匹だとしてもデカすぎて無理だろが」 「まあ八匹いるから神話みたいで縁起良くない?」 「大蛇は退治される方!」 本気で怒ってるのにゴリラ女子達まで笑いだし、一人でカッカしてる自分が滑稽に見える。 「百合と瑠里いいキャラだわ。うちの世界で短期留学制度あるけど参加してみない?目の色からして金術使えそうだし」 「いいね!勉強にもなるしいい刺激になるよ」 女子達は乗り気だが、勿論一存でそんな事は決められない。 深く事情も聞かず、大蛇を八匹引き連れた女とその姉を歓迎モードなこの人達こそヤバそうな雰囲気だ。 とりあえず瑠里とは一旦別れ、後始末は会社が何とかしてくれると期待して私は朧と合流する予定だ。 暫くは短期留学についての話題で持ちきりだったが、聞き覚えのある名前も耳にした。 講師で来ている先生の中に空蝉屋がいるらしい。 異世界との文化交流を仕事としているので不思議はないが、出来れば長男とは顔を合わせたくない。 短期留学は三か月らしく、私達はそんな長期間家を空けることは出来ないし、仕事で異世界と関りはあるがプライベートとはキッチリ分けたい。 ゴリラ姉さん達とは仲良くなりたいが、またいつか会えるかもしれないし、親しくなりすぎるのも何となく怖い。
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