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仕事柄もし執行する場面になったら等、不吉な事も浮かんでくる。
「先生達にも聞いておくから絶対に来てね!」
最後まで熱くラブコールをしてくれた蘭さんだったが、作り笑いをして誤魔化しておいた。
「百合そろそろ帰ろうか?」
いつの間にか現れた桜舞にビクッとしたが、名残惜しい時間にピリオドが打たれた。
「黒術狐の捕獲に成功したが、あの大蛇はどうしたもんかの。瑠里は気に入ったようだし、あちらさんも心地がいいらしいのぅ」
「蛇呼ばわりされるもん同士気が合うって事ですかね」
「詳しくは分からんが、黒術を使って商売する者が他にもおるらしい。そうなると守備範囲の広いプロに任せるしかないな」
朧が住んでる地域と関係がないのに、狐の世界という括りだけで悔しいみたいだ。
自分の世界の悪事は恥かもしれないが、観光地側にもトップは居るだろうし、そこまでもみ消したい気持ちもよく分からない。
「異世界って縄張り意識やトップ争い、悪事の消滅への執着凄いですね」
「ほぉ……確かに。分かってきたから移住でもしてみるかい?」
「お断りします……永遠に」
夕飯も勧められたが、女子会で甘い物は沢山頂いたし瑠里がどうしたのかも気になる。
盆栽の雑誌を受け取り、お礼を言って扉を潜った。
消毒の通路で顔の筋肉をブルブルされ、荷物を置いてシャワーする流れになる筈だった。
なのにパイプ椅子に座った瑠里が待っていて悲鳴をあげそうになった。
「遅いよ――!みんなで待ってたんだよ?ゴリラとマブダチになって、強い者同士気が合ってんじゃないよ」
「どしたの?私待ちなんて珍しすぎて不吉な事しか思い浮かばない」
瑠里は椅子から立ち上がり、誰かに電話をすると久々に会いたかった田村さんが現れ、ハグしたい衝動にかられた。
「お久しぶりです!田村さんお元気でし……」
「たわけ!はしゃいどる場合か!お別れの儀式が済んでからにせい」
忍者探偵口調になると、もうお頭の気分になってるので下手に口を挟まないのが長引かなくていい。
イナリはゲージに入れて預けると見覚えのある大きな扉が見えて、帰りたい気持ちになっていた。
「この扉……イナリといた巨大犬二匹一時保管してたのと一緒だよね、まさかこの中に大蛇八匹とか居ないよね?」
「さすがは茜、いい勘働らきじゃ!」
深呼吸をしてから呆れた目で瑠里を見ていた。
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