言い訳の女子会

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「さっさと終わらせてよ、田村さんにも迷惑かけてるでしょ!」 「うん……分かってる」 パネル操作してる間も、中が気になるのか扉に手を当てる瑠里。 『大蛇に憑りつかれた』とかないよねと不安になってくる。 大きな扉が開くと同時に、蜷局を巻いた大蛇達が顔をあげる。 瑠里は近づいて行ったが、私達は動かずそのままの姿勢で、呪いにかかってないかと田村さんに小声で質問をした。 「全く問題なしです。そういう検査もしましたが大丈夫、百合さんも今後仕事で何かあったら対処できるのでご安心を」 「あはは……出来れば御免被りたいです」 頭の大きさだけで瑠里の身長を超えてるので、一瞬で飲み込まれてしまいそうだ。 なのに瑠里は頬を寄せ、大蛇共は撫でてくれと言わんばかりに頭を差し出している。 「おい!ドキュメンタリ―番組はもういいよ気持ち悪い!絵ずら怖いし、さっさと帰って終わりにしろよ」 扉が開いた先は滝つぼで水も流れているので寒いし、水滴がミストのように顔に纏わりついてくる。 「薄情なおなごじゃ!姉さんもイナリとのお別れの時寂しいと思ったでしょ」 「いや、達者で暮らしてねってすぐ見送ったけど」 あの時も同じく隣にいた田村さんが頷くと、見てないフリをされてしまう。 「振り向かず行って。私からは歩きだせない……あなた達の背中を目に焼き付けておきたいの」 長くなりそうなので田村さんと近くの岩に座り、リュックからコーヒーを出して飲み始めていた。 数分ブツブツと話をしていたが、一匹が空に浮かぶと次々と頭上で回転し不気味な光景に目を奪われる。 「こんにちわ」 「――グワッ!」 空中で舞う大蛇達に注目しすぎて、近くからの声に過剰に驚いてしまった。 髪が金と銀が混ざったような色で、水面からの反射も手伝ってきらきらと輝いている。 スラッとした長身に高そうな服、気品のある顔立ちからして私達が苦手な金持ちに違いない。 「ウチの世界の者がお世話になったようで有難うございます。最近勝手に術で呼び出され帰り道が分からず暴れてしまう事件が多発してまして」 「イザリ屋に依頼されてますか?」 田村さんとイケメン男性が話をしてる間も、瑠里の頭上でずっと八匹が泳ぎ続けている。 瑠里の隣に行き上を睨むと、そよそよと泳いでいたクセに急にピタリと動きが止まる。
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