炙り出された影

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一言も話さないが何気に蓮さんの目つきも棘がある気がして、何で立花の人間にここまで攻め視線されるのか考えだすと腹が立ってきた。 「美味しそう……でも蘭さんあっちの女子達ヘルシーチョコの話で盛り上がってますよ」 「ヘルシーかぁ、ちょっと混ざって来る」 スッと立ち上がって紫紺が準備したシートに入ると、初めからメンバーだったかの如く盛り上がっている。 女性陣は神楽に興味がないみたいで、ダイエットや美容関連の話を聞く方が楽しいようだ。 『待ってー!こんな空気で置いていかないでぇ』 数秒頭を絞った挙句、苦し紛れに出た言葉は『私も女子達と話してくる』だった。 「そういうの……苦手じゃん」 普段しゃべりもしない蓮さんが余計な一言をいい、聞こえないフリして移動しようとしたが、紫紺は『神楽に集中できない』とこちらに移動してきた。 樹は屋台の戦利品を女子達にも配った上でこちらに座り、好感度も上がってるしあっちで女子に囲まれてろとイラつきながら逃げ道を探していた。 「ほら始まってるよ」 紫紺が助け舟を出してくれたが、塵里の隣に座られてしまったので私の右サイドの防御がガラ空きになる。 おまけに二人は感想を言いながらすぐに神楽の世界に誘われてしまい、一人置き去りにされた気分でビクビクが止まらなかった。 静かに背後からポテトが渡されると思わず手を伸ばしたが、厚切りタイプなので芋感がダイレクトに味わえた。 あまりの美味しさにもう一つと調子に乗った貧乏人は見事に罠にかかってしまい、呆気なく後ろのシートへ引きづられた。 「あーら美味しそうに食べてるね、おまけにポテトの包みも手から離してない」 「全部口に頬張る下品さは全く変わってないね」 太鼓の音で滋さん達の声は前の人には聞こえないだろうが、何故か二人に囲まれている。 両側から嫌味を言われてもポテトを食べる手は止まらず、滋さんはキャップを被ってたので、目線が合わないのがせめてもの救いだ。
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