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「ちょっと見ない間に浮気してさ、瑠里ちゃんは真面目に農作業をこなしてクラスの子からも『隊長』って呼ばれてるんだよ、なんだろうねこの差は」
「先生の前でイチャつくのも良くないな『お前にはこんな相手いないんだろ』って言われてるみたいで気分を害すから」
究極に自己中な考え方の二人に挟まれると好き勝手な事を言いたい放題だ。
「真面目に講義受けてますし、別にイチャイチャもしてません。被害妄想はいい加減にしてもらえます?」
ポテトを食べ終えて手を払うと追加の袋を樹さんに渡され、貧乏人をここに引き留めておく作戦がとられた。
「槿は他にも数人に売ってんだよね……回収できればいいんだけど、使用したら生徒に危険が及ぶから気を配っててね」
袋から新しいポテトを出すと蓮さんがジュースをくれ、タイミングの良さが逆に気味が悪い。
「入手ルートも掴んだし今日はぐっすりと眠れそうだよ」
槿は慎重なタイプで口も堅そうだし、私もアッサリと罠にかかった手前、どう吐かせたのか気になった。
でもこの職場は『聞いていい事悪い事、知らない方がいい事』があるのは重々承知している。
なので顔色を窺うためにチラッと樹さん達を見ると、イケメンらしからぬ不気味な笑顔が返って来たので頭から疑問を追いやった。
やはり『立花』とつく奴は悪魔と死神の要素を兼ね備えていて、マシだと思ってた樹さんや、無口だから害はないと決めつけてた蓮さんも例外ではなさそうだ。
神楽は家に泊めてくれた中年の女性の正体がバレそうになるシーンを迎えている。
客人の薪を取りに行こうとしたが、禁止されていた床の間を見てしまい死骸を見て、ここが『鬼こもれし黒塚』だと気づく。
逃げる客人に本性を現し鬼の面をした狐の姿で追いかける。
鬼の迫力もさることながら、演奏も舞も見せ場と言わんばかりに盛り上がり舞台から目が離せない。
猿人間はガタイがいいので鬼の怖さが倍増しているし、ジャンプもするが高すぎて前の方で見ている人からは小さな悲鳴が上がったくらいだ。
必死に逃げないと鬼に食べられるという臨場感が伝わってきて、無意識に小石を右手に掴んでいた。
結果鬼は矢を放たれ退治されたが、見事な舞に大きな拍手に包まれ目に焼き付いていた。
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