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教室に皆が集まる時間になっても、真珠さんや槿が居ないのに誰も気づかず、トカゲの世界の女子がいない事も記憶から消されてるようだ。
狐の世界の見張り番は仕事をやり遂げてもう用は済んだと言いたいのだろうが、姿だけでなく痕跡まで消し去ってしまった。
例外は蘭さん達で、管理者は今度の為にあえて記憶を残したみたいだ。
イザリ屋に仕事を依頼されたのもあり、その事実もなかった事にされたら報酬ゼロで社長もクレームを出したに違いない。
少し広くなった教室で講義が始まると、窓からの眺めは葉桜に変わっていて、春の終わりと別れを告げるようで寂しそうに見えた。
午後からは実習を兼ねるパターンの授業で、一か月経つと男性は一演目舞う練習をさせられ、女子前座的な踊りの稽古が組み込まれるようになった。
相変わらずクラスの女子とも挨拶程度の関係だが、学校の中には結構慣れてきて弁当のサイクルも固定化されるようになっていた。
月曜はパンを狙いに食堂へ行き、火曜日は二番目の食堂で麺類が二割引きになるのを知った。
水木は弁当だが、三時のおやつに限定のパイをゲット出来たらラッキーで場所も把握している。
金曜日は自由にしているので面倒臭ければ食堂にするという流れでルーティンされていた。
紫紺を含む寮チーム男性は放課後も練習するようになったが、女子達はどうしてるのかと耳がダンボになる。
スイーツを食べに行ったり、コンパ的な集まりに参加したりと満喫しているようだ。
一方私は放課後はすぐに職場に戻り、週末二日の休みはトレーニングし、残りは食料品や着て行く服を買う程度で、面白味の欠片もない生活を送っていた。
帰り道は酔葉の匂いに警戒しているが、あれから使用したという連絡も受けてないし、事前に回収した報告も上がってないので気は許せない。
寮生活の蓮さんに放課後の調査は頼んでいるが一回もコンタクトを取ってきた事はないし、塵里の顔もずっと見てない。
もう帰ったのかもしれないし、同級生が蓮さんなので様子を聞くことも出来なかった。
樹と紫紺のイケメン組はクラスでも人気で、どの世界でも通用するんだと感じつつ周りを囲んでる人以外にも視線をやり、見た目だけで判断しないよう心掛けた。
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