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言い訳の女子会
「そう言えば、百合はどんなのにフラれたの?」
ゴリ姉さん……いや、ゴリラ人間だと丸分かりのお姉さん方の話に聞き入っていたが、急に振られて焦ってしまう。
隣にはドスの効いた声の蘭さんが座っている。
名前とはイメージが違い、彫りの深いゴリラ面とパンチパーマだが、春を意識したペールグリーンのニットの趣味はいい。
正面にはマンダリンさんとアイリスさんという花の名のお姉様が座っている。
みんな同じくパンチパーマで見た目の迫力は凄いが、持ってる小物等はお金をかけていて女子力は高めだ。
話は面白いし、頼りになりそうだし遠慮なく接してくれて居心地もいい。
誘われて流れで参加してみたが、いい気分転換になったし、狐の世界の観光地側はゆっくり回ってみたいくらいだ。
朧達はイザリ屋に偵察は依頼したものの気になり、自分達でも何とか出来ないかと変装し、潜入までしているが私には関係ない。
瑠里もヘルプでここに来ていると聞いていたが、姿も見ないし騒ぎになってないので恐らく大丈夫だろう。
せっかくユニークで面白い姉さん達と知り合ったんだし、ゆっくり楽しませてもらうことにした。
「どうしたのボーっとして、もしかして思い出したくないレベルの男だった?」
「えっ?いやっ、ちょっと憧れだったっていうか……」
彼すらいないので、話を膨らませる意味もないし、片思いだったというオチで適当に相手を見繕うことにした。
「可愛いね、純粋に失恋って久々でキュンとくるわ。聞かせて、聞かせて~!」
イナリはおすそ分けを沢山してもらい、私の膝の上で丸くなってお眠モード。
姉さん達は失恋ネタに興味深々だ。
誰にしようか考えても、立花の男性は誰をモデルにしても悲惨な奴になりそうなので、分かりやすい滋さんを出しておいた。
「女性に手をあげるタイプで……」
「はぁっ!?連れて来いよ!フルボッコにしてやるわ」
まだ何も話してない側から彼女達からはブーイングの嵐だった。
普段『般若扱い』しか受けてない身からすると、そんな風に味方してくれる頼もしい姉さんの反応が嬉しい。
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