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家に戻り一週間後、皐月中頃に短期留学が終わりを迎え、クラス内で卒業式をして教科書を返した。
アッサリと終わったが蘭さんと紫紺には『また会おう、連絡するね』と別れ際に友達がいう言葉を使い、事前に気合を入れて向かったので涙は出なかった。
残りの酔葉使用者は蓮さんが捕まえてくれたし、長いようで短かった潜入が終わると、四日の休暇に入るが、すっかり忘れてた母の日や誕生日。
ドラム缶は『忙しいのは分かってる』と言ってだけど期待してるし、瑠里を誘ったがフクロウの世界と約束あると断られた。
田中さんだろうけど、学校が終わってから本当に連絡を取り合ってる友達がいて羨ましくもあり、大変でもありそうだ。
一方私には職場からのバイトメール以外音沙汰はない。
これからも短期留学も行かせたいと社長は言ってたし、特待生で入るとこんな交流も無くなるので、友達は出来そうもないが、猿の世界への留学はいい思い出となった。
講義の事や昼休憩を思い返したり、弁当も学生の時は貧乏すぎて嫌で仕方なかったが、普通のおかずを入れるのが可能だと意外と楽しいと分かった。
ワースト三に入る思い出の一つだったが、イザリ屋で学生の楽しい時間のやり直しさせてもらったようで、休みの時に振り返ってはニンマリとしていた。
プレゼントを見に行くのは明日にして、今日はトレーニングに行こうと玄関を出ると、昼間だというのにコンビニの椅子に和音さんの姿が見え思わず手を振った。
「百合さん久しぶりです!」
「おはようございます、何だかお疲れ気味ですか?」
「えぇまぁ、やはり百合さんが居ないと張り合いがないというか、寂しかったしヘルプも多かったので……」
思わず顔が熱くなりそうだが、そういえばワオンさんもサラッとこういう言葉を口にするので、心臓に悪いイケメンなのを忘れていた。
「少し歩くと喫茶店があるの知ってます?」
「いえ……職場との往復で、あとは車ですので」
「じゃあちょっと寄ってみませんか?」
返事をする間もなく右肘に手を添えられると、ドキリとして体温が上がる。
土産話聞かせて下さいと微笑まれ、現実にも話を聞いてくれる知り合いがいて、なんだか嬉しい気持ちでニッコリとした。
ドキドキもしたというのは内密だが、二人の間を爽やかな風が通った気がした。
(完)
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