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炙り出された影
「百合クラスで気になる子いる?」
どう考えても流れは『気になる=怪しい』を示し女子話ではないと分かっていても一瞬ドキッとする。
殆ど話をしてないし、マジマジ見てないので啄みたいな体型はいないという位しか把握出来てない。
「う……ん、人見知りであまり会話もしないから、まだよく分からないですね」
「そっかー、私もなるべく休憩時間とか話に混ざってみる」
推理小説は好きなので『犯人探し』は嫌いじゃないが、どちらかというとウチにはいませんの証拠をみつけたい気持ちだ。
槿は多少気になるがまだ確証もないし、むしろ特待生の方が薬を広めやすい条件も揃ってそうだ。
持ち物検査もされないだろうし、職業柄武器を持つ者もいそうなので尚更だ。
「特待生って線もありそうですよね」
「うん、ミーティングの時に話したんだけど、イザリ屋の人もいるから相談する事になってる」
「そうですか、は……早く捕まるといいですね」
誰が来ているのか気になるところだが、私の所に樹さんがいるのでそれ以外というになる。
知らない人という可能性もあるので、あまり考えないようにして蘭さんの後を歩いたが、昨日の場所や残りを回っても特に異常はなかった。
「さすがにそんなすぐ取引しないよね」
「そうですね、敵も警戒してると思うのですぐに尻尾は出さないかもです」
収穫はゼロだったので蘭さんと別れて裏門に向かっていると、例の匂いがしたので思わず振り返った。
酔葉の匂いで合ってるのか自信はないが、さりげなくターンをして鼻をスンスンしてみたが途切れてしまう。
周囲は花壇があり学生達がベンチに座って話をしたり、芝生の上で寛いだり不自然な所は全くなかった。
「ダメだわ、帰ろう」
花壇を横切る時に目線の端に槿を捉えたが、楽しそうに笑っていたので足を止めずにいた。
でも直後に隣にいるのがクラスの男性ではない事が分かると、微妙に胸騒ぎがしたが後の祭りだった。
『さすがに引き返したらバレバレだよな』
仲良くなったとしてもクラス以外の人とどうやって知り合うんだろう、短期留学常連とかなら別だがこじ付け感もある。
それに男性が花壇の近くでトークって、私より女子力高いやないかいとそこにも引っかかっていた。
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