01 スライムにでさえ勝てない虚しさ

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 俺は、藁を掴んだまま気を失った。  そして、気づいたとき……  俺は、草原にいた。 「ここが天国?」  俺は、余りにも綺麗な草原だったので思わず言葉が漏れる。  すると1体のどろどろした生物が、俺の前に現れる。  なんだ?この生物は……  ゲームとかで見たことがある。  えっと、なんだっけ?  俺が、そう考えているとその生物は俺に唾を吐きかけてきた。  俺は、素早くその唾を避けた。 「汚いなぁ」  俺が、そう言うとその生物はイライラした様子で再び唾を吐きかけてくる。  俺は、その攻撃を再び避けることが出来た。  なんだろう。  体が軽い。  そして、ひとつ思い出した。  このゲル状の生物。  スライムだ。  世界最弱の生物。  つまりは雑魚だ。  今、流行りの異世界にでも来たんだ。  このパターンはそうだ。  俺がい世界に来て女の子といっぱい出逢ってハーレムとかそんなパターンだ。  異世界から来た俺は、チート級の能力でメキメキ力をつけて魔王を倒す!  うん!十分ありえるパターンだ!  俺は、そう思うと藁を鞄の中にしまうと近くに落ちていた檜の棒を拾い構えた。  そして、スライムを殴った。  ぐちゃりとスライムは音を立てて潰れた。 「スライム程度……  異世界から来た俺にかかれば一撃だぜ!」  俺は自信満々だった。  異世界から来るということは、そういうことなんだ! 「ふふふふふ……  俺は最強だーーー」  俺は、そう叫んだ。  すると倒したはずのスライムが見る見るうちに再生していく。 「シャー!」  そして、スライムが威嚇してくる。  あれ?スライムってこんなに強かったっけ?  スライムは、無数の唾を五月雨のように吐き出してくる。  俺は、それを避ける。  そして、その唾の跡を見てみた。  草が溶けていた。 「うわー  怖……」  でも、俺には余裕があった。  なぜなら俺は異世界から来た存在なのだから。  それ以外に何か理由が必要だろうか?  きっとコイツを倒せば、経験値ザックザクで無敵な俺になれるんだ。  無双しまくって女の子を口説きまくってやる。  俺は、そう思うと木の棒を再び構えた。
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