サプライズデイ。

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「お嬢様、紅茶のおかわりはいかがですか?」 「…。ありがとうございます。おかわりいただきます。」 おずおずっとティーカップを差し出す。 ティーポットを片手にティーカップを受け取り優雅に注ぐのは今しがた声をかけてきた男。漆黒の髪を後ろの方に撫でつけ、銀縁眼鏡を掛けたその眼光は隠されている。服装は、背広かと思われたが執事服。良く似合っていると思う。 いや、違う。 そうでなくて、私はどうしてこんな状況になってるの? 彼の後ろの方には別の執事もどき達がいる。 「もっと愛想よくしなきゃダメだよー。か・お・る♪」 「そうそう、今日は姫を労ってあげる日なんだから!」 「姫ー! どうだ? 俺らからの誕生日プレゼントは!」 「え? き、緊張してよくわかんないです。」 「あー。俺たちにも敬語になってるし…。もう、薫さぁ、もうちっと愛想よく出来ない?」 「お前ら煩い。俺が無愛想なのは今に始まった訳じゃないだろ。姫野もいつも通りでいい。」 「ムリです。ラフな格好の高藤さんならいいのですが、畏まられた格好には畏まった対応してしまいます。」 「お嬢様、今日一日私めは執事でございます。故に敬語はやめてくださいませ。」ニコッ 滅多に見せない笑顔を見てしまい、心臓がドクンと脈打った。 「あー。薫るんのレア笑みだー!俺、男だけと落ちちゃうかもー。」 「マジ煩いっ。俺が執事服はわかるがなんでお前たちまで執事服なんだ?」 「単なる趣味! そもそも、この衣装は俺のコレクションだし!」 「遥のコレクションは相変わらず凄いな。サイズが色々あるのには驚かされたわ。」 「期間限定でコスプレ喫茶しようかと思って購入しといたのさ。」 「その年で、店やってるのは凄いが流行ってるのか?」 「道楽でやってるから利益は求めてないんだよねー。あの店はほぼ趣味でやってるし! マスターと姫に任せてるんだよね。俺の本職は別さ。」 「遥兄は結局何してるの?」 「それは、ひ・み・つ♪」 「「「「「(ヤバイ職業なの?)」」」」」
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