オオカミさん

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オオカミさん

「ぅあ~か~の~~。  これは一体どういう事だ?」 「ふぁあいっ、サッせーんっ」  ヤ○ザだ。  手にした書類の束を丸め、私の頭をポコポコ叩きながら、ソイツは私を恫喝した。 「俺は資料5ページの修正を依頼しただけのはずだ。  それが何~故、5ページ丸々抜けてるんだコラ」 「それがトンと身に覚えが無く…」 「ヤカマシイッ!  それにその間延びした返事はなんだ。 『申し訳ありませんでした』  だろうが、ん?」 「あいっ、申し訳ありませんでしたぁ~ッ」 「伸ばすなっ!  全く、水野さんが気付いたから良かったものの。  エライ恥をかかされるとこだった。  ん?  何やってんだクラァ。  急いで10部、刷り直してすぐに持ってこ~いっ」 「うわっは、はいぃっ」  ハァァ。  肩をいからせ、去り行く背中をチラリと見、私は小さな溜め息をついた。
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