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フランス産の赤ワイン、メルロー種と言う葡萄の品種は、酸味が少なくまろやかな口当たりが特徴で、特にこの年のカリフォルニアは豊作で出来が良いそうだ。
「乾杯」
祐介の真似して、グラスを摘まんで掲げた。
少し口に含む、芳醇な香りと適度な渋味が味わい深く、喉をスルリと通る。
「美味しい」
酸っぱいのが苦手な私にぴったりの、少し甘口なワインだった。グラスの中の綺麗な赤紫色を見つめた。
「気に入ったようだね」
祐介の微笑みに私も微笑みで返す、慣れていないお酒に場所も、楽しさは変わらなかった。
「何か話の途中だったよな」
「え、いや何でも無いよ」
食事の後に話そうと、また問題を先送りにしてしまったのがいけなかった。
「そうか、実は俺の方も、話があるんだ、いいかい」
戸惑った顔をしても時既に遅く、祐介は続けてジャケットのポッケから小さな箱を取り出した。
いつになく真剣な表情した祐介に迫力を感じた。
取り出した箱を無言のまま、私に向かって差し出すと心臓の鼓動が強まる、祐介の緊張がこっちにも伝心する。おぼつかない手つきで箱を受け取り、その箱を開けた。
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