音楽のような風

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私は写真を第一に考えてしまっている所はあるけれど、日常の仕事を厳かにしているつもりは無い。今も昔も、何事にも一生懸命やる、それを自負している、仕事も趣味もだ。 だから言いたい人には言わせておけば良いと思うが、その言葉は口から出なかった。 「そんなに迷惑はかけて無いと思うんだけど…趣味の範囲から少し逸脱しているとは思うかな、でもやりたくてやっているんだし」 「そうだよ、だって君、写真家になりたい願望とか持って無いよね、そりゃあ大きなカメラいつも持ち歩いているのは知ってるけど、今でもプロになりたいなんて思って無いでしょ」 「まあ、そうだけど」 「確かにまだね、まだ皆に迷惑かけているとは言え無いけど、皆君の写真を応援しているからね、でもその写真関係で一つ大きな仕事の依頼が合ったとするよ」 「どんな?」 「例えば、海外とか、一週間とか、下手すると一ヶ月とか現地で写真取ったりレポートする仕事の、きっとお金もそこそこ良いと思うし、プロっぽい仕事、やりがいある仕事になると思うけど、そんな話が舞い込んで来たら、どうする、君やるだろ」 「た、多分やる、かも」 「うん、そうすると、休職、下手すると退職せざるを得なくなるけど、どっちも急に職場を去る事には変わらない、まあ一ヶ月位の猶予はあるのかも知れないけれども、多大な迷惑が会社と同僚に掛かるでしょ」 黙ったまま、相槌だけしていた。 そんな話が来たら、そりゃ乗るよ、迷惑掛けちゃうのも致し方ない。口に出せないけれど、祐介の話でワクワクしている自分がいた。
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