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三沢のほのかな恋心に、鈍い秋津は気が付かない。三沢のアピールは、ことごとく躱されてしまう。いい加減焦れてきていた。
彼の眼鏡を踏んで壊したのは偶然だが、これは三沢にとって降って湧いたチャンスだ。
木に背中を預け、長い脚を投げ出して座る秋津に、頬を紅潮させた三沢はやりたい放題である。
自分が神聖な教職にあることなどすっかり頭から抜け落ちていた。無抵抗の秋津のシャツを脱がし、見事な腹筋に見惚れ、それから迷うことなくズボンのベルトに手をかけた。
ガチャガチャと無理やり力任せにベルトを外しても、秋津の意識は戻らない。
「んっまああぁ、なんてこと!」
ボタンを外し、いそいそとチャックを下ろした三沢は、両手で顔を覆いクネクネと恥ずかしがる素振りを見せた。自分で脱がせておいて、今更である。
「やだもう、恥ずかしいっ! 秋津君たら、こんなもの着てどうする……はっ、まさか……」
ズボンを下ろして現れたのは、当然有るべき下着ではなかった。部活動紹介に立つ為、秋津はあらかじめ水着を着用していたのである。
が、三沢が恥ずかしがったのには別の理由があった。それが見慣れたいつもの水着では無かったからだ。
あれはあれで好きなんだけれど、と三沢の喉仏がゴクリと動いた。
「ああ、神様。いつも良い子にしてるアタシにこんなに素敵な贈り物をありがとう。……いただきまぁす」
形の良い唇に吸い付くと、いまだ無抵抗の秋津を押し倒した。
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