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秋津が目を覚ましたのは、身体にむず痒い刺激を感じたからだ。今まで感じたことのない感覚に、無理やり現実に引き戻された気がした。
動き出した意識は、自分の脚の間にある見慣れない……いや、ある意味見慣れた後頭部を捉えていた。
「……先生?」
そんなところで何をしているのかと、声をかけるつもりだった。だが出てきたのは荒い喘ぎのような吐息だけで、ぬるぬると蠢く未知の感覚に意識を奪われてしまった。
「ん、ぁひひゃの?」
三沢が何か言ったようだが、全く理解出来なかった。
それよりも、下肢に伝わるこのぞわぞわと迫り上がる感覚はまさか……いや、駄目だ。考えては駄目だ。
秋津は再び思考を手放し、今度は快楽の世界に呑み込まれた。倒錯した世界の中では不思議と嫌な気持ちにはならず、むしろあたたかい誰かの人肌に触れることが、嬉しいとすら思えた。
ちょうどその頃、水泳部の部活動紹介は大成功を収めていた。一部の生徒に絶大な人気を誇る、奈々のおかげである。例年女子の入部率は下がる一方だったが、今年は男女ともに期待が出来そうだ。
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