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結果として泳げない奈々が、水泳部マネージャーとして入部することにはなったが、秋津の心配事はこれで解消されたわけである。
「史くんあんなに張り切ってたのに、どこ行っちゃったのかな」
「緊張から腹でも壊したのではないか?」
「うーん。秋津ってそんな繊細だったっけ?」
三人の心配をよそに、体育館裏ではとんでもない痴態が繰り広げられていた。
「……っ、先生……」
「やだ、サトくんって呼んで?」
「さ、サトくんっ……もう無理だ……」
台詞だけを聞けば、可愛らしく甘えた女の子のようだ。三沢は男性にしては綺麗な顔立ちだったが、決して女性らしいところなどない。誰が見ても綺麗な顔をした、男である。
「やっ、あぁん、史兼くん好きぃ」
「……好き……?」
自分の上で身体をくねらせて絶頂を迎えようとしているのは、どう見ても男。自分より年上の、学校教師……に、間違いはないはずだ。
秋津はもう、限界だった。身体的にも精神的にも、ギリギリの状態だった。
いつの間にか三沢に襲われていた。訳が分からなかったが、とにかく気持ちが良くて流された。
こういった行為は未経験で、想像以上の快感に抗えなかったのだ。三沢は秋津から吐き出されたものを、目の前で当たり前のように飲み込んだ。
ぞくりと、また熱が集まった。ペロリと唇を舐めた三沢の表情が艶めかしくて、釘付けになった。抵抗する気持ちなど、全く起きなかった。
三沢が口唇を突き出して、キスを強請った。こんな自分を好きだと言ってくれるひとがいる。胸を熱くした秋津は、覚えたばかりの拙いキスで、それに応えた。
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