金と椅子と海

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残った金で買ったもの。 借金だらけになりながらも何とか手に入れたもの。 黒く重い鉄の塊…… 海を見ながら頭にそれをあてる。 今になって思い出されるのは、何故か子供の頃のあの誕生日の家庭料理。 あの時はとても汚いものにしか見えなかったが、今ではとてもキラキラと光って思い出される。 皮肉にも今日は自分の誕生日。 海を見て迎えて終わる。 場所も環境も違えど見ているのは同じ景色。 暖かな料理とケーキに包まれたあの光景を思い出し、引き金を引く__ これが俺の誕生日だ…… 一筋の涙とともに俺の人生は思い出と共に終わった。 (終)
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