知っているのは星空だけ

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「三日月先生は、だから……最終回は世に出さない、と決めたのかもしれません」 「物語を変えることはできないけど、先生だけがその悲しい結末を心に留めていたら、私たちはどんな結末でも想像できる」 「そう……先生は、私たちに、二人をハッピーエンドにして欲しいと思ったのかも」 「不思議ですね、先生の物語なのに……先生が見えた物語だからこそ、先生だけは二人をハッピーエンドにできないなんて……」 もうすっかり辺りは暗くなっていた。 見上げると、一面の星空が二人の頭上に広がっている。 本当のことなんて、どうでもいい。 この星空に包まれていると、そう思えた。 美沙希と隼斗は、空港で再会して、ぎゅっと抱き締めあった。 終わらなかった物語は、今、この瞬間、確かにハッピーエンドで幕を閉じたのだった。
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