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会社も有給を取って、朝から書店へ向かった。
今回は、特別だった。
3年間連載されていた三日月先生の作品、『ミルキーウェイを探して』が、とうとう最終回を迎えるのだ。
主人公の美沙希が、恋人の隼斗とすれ違ったまま、一人スペインへ旅立とうと空港に向かったところで前回が終わっていた。
三日月よし子は、恋愛小説家だ。
王道といえば聞こえはいいが、要はベタな展開だらけの作品ばかり。
突然ライバルが現れたり、交通事故にあったり、兄妹疑惑が出たり。
そして何が起ころうとも、最後は必ずハッピーエンドで終わるのだ。
チカは、絶対二人は結ばれると分かっていても、その途中で立ちはだかる障害の数々に、いちいちハラハラドキドキするのだった。
ただ、チカはストーリーより何より、三日月先生の生み出す、男の子にとても魅力を感じていた。
どの作品でも、主人公が恋する男の子に、チカも恋をした。
特に、イケメンで、優しくて、王子様のような描写があるわけではない。
むしろ、一重だったり、ニキビが両頬にあったり、嫉妬深かったり、つい嘘をついたりする、そんな普通の男の子たちだった。
けれど、彼らは真っ直ぐに主人公を愛する。
主人公への愛が、チカをときめかせた。
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