知っているのは星空だけ

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だから……、だから今回もきっと、二人は結ばれるに違いなかったはずだ。 置き手紙を見つけた隼斗は空港へ急いで、美沙希が飛行機に乗る前に間に合うのだ。 二人は駆け寄って、抱きしめあって、今度こそ永遠の愛を誓って、ハッピーエンド。 それを期待して、チカは買ったばかりの『よぞら』春号を帰りの電車の中で開いたのに……。 『ミルキーウェイを探して』の最終回はどこにも載っておらず、代わりに見開きの右ページに三日月よし子直筆の手紙と、左ページに編集部からの簡潔なお知らせ文が掲載されていただけだった。 「私は、旅に出ます 探さないでください 本当に、ごめんなさい」 この手紙は、作中で美沙希が隼斗宛てに書いた置き手紙と全く一緒の内容だった。 三日月先生は、本当に最終回を書かずに旅に出てしまったのだろうか。 いや、きっと最終回は出来ているはずだ。 三日月先生は、前に『よぞら』にエッセイを書いていて、物語は、ラストシーンまで絵巻物を一気に広げるように思い浮かぶと言っていた。 きっと、『ミルキーウェイを探して』のラストシーンも、最初から決まっていたはずなのだ。
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