知っているのは星空だけ

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「えっ……どういうことですか?」 チカが尋ねると、女性は思い切ったように言葉を続けた。 「先生は、物語が一気に見えると言ってましたよね」 「はい」 「もしかしたら……見えた結末が、私たちが考える結末とは違っていたんじゃないでしょうか」 「……ハッピーエンドではない結末が見えてしまっていた、ということですか?」 「そうです! きっと、そんな結末が見えてしまって、先生は悩んだ……」 「見えた結末通りに書くか、ハッピーエンドに変えてしまうか……」 「本当は、美沙希と隼斗に幸せになって欲しい……けど、見えてしまったものを変えることも、先生にはできなかったんじゃないか、と思うんです」 「どんな結末が見えたんでしょうね……」 「あなたも言ってましたけど……隼斗はバイクに乗ります。空港に向かう途中で、事故にあったり……飛行機が……」 それっきり、女性は黙ってしまう。 けれどその考えは、最終回を書けずに旅に出た、なんて言われるよりずっと真実に近いような気がした。
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