プロローグ

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本音を言えば、飲食店のアルバイトなんて色々大変になることが多く、割に合わないことの方が多い。それは浪人していた頃働いていた焼肉屋のバイトで散々思い知らされた。 周りの友人の殆どは学習塾や家庭教師をしていて、単純な時給の比較なら彼らの方が多くもらっている。 「準備時間とか面倒なことが多いよ」とよく言うが、こちらもこちらできついことあるのだからお相子、寧ろその分時給が伴っているのだから羨ましいくらいである。 だが、こうも胃袋を掴まれてはなあ、とよくわからない溜め息が漏れる。 「下川、お前就職のほうはどうなっているんだ」BGMとして流れていた有線だけが響く部屋の中で、店長である鵜飼の声が聞こえた。 安伸も気が付けば大学四年生、しかも残り半年を切っているにもかかわらず、今のところ内定を出してくれた企業は一つもない。 同期のアルバイトや大学の友人が先に内定をもらっているせいか鵜飼も気にしているようである。     
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