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「彼と彼女、それに、あの隅にいる小柄な男も、ここの職員だったのだよ。今じゃこうして白い部屋の住人になってしまったがね。まあ、考え方の違いといっておいたほうが無難かな。それ以上、わしには言うべきことはない。社会の構造変動、階層構造について語る趣味はないんでね。要は、自分の生き方は自分で決めるってことさ。それはいつの時代においても理想だろう。必ずしも現実とは言えない理想、さ」
所長が薄く笑った。「そう、必ずしも現実とは一致しない、ね」
所長はSMMマシンに近づき、コントロールパネルを表示させた。プログラムを作動させる。「君には、満足度の高い指示を作成してあけるよ。君のために特別に『作曲』したプログラムだ。心落ち着く音楽に浸りながら、君だけの人生ドラマを堪能してくれたまえ。人生の勝利者となることを祈っているよ。君に勝つのは君自身だ」
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