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「まだやりたいことがあるのでね。一つ、君に尋ねるが」柔らかく微笑みながら所長が続ける。「私には家族がいない。その上、こんな殺風景なところにいると気が滅入る。そういう時、どうすればいいと思う?」
私は所長の問いかけの真意が掴めず眉根を寄せた。そんな私を見て、所長の微笑みに毒気が混じった。
「間違ってもそんなところへ逃げ込んだりはしないね。そう、ペットを飼うのさ。従順なペットをね。ペットには大きく分けて二ついる。一つはここでの仕事をきっちりこなしてくれるペット。そう、君の周りにいる連中だ。もう一つは、なんでもいうことを聞く可愛い女性だ。そう、彼女のような、ね」
所長がコントロールパネルのレバーを動かした。「音楽」が送信される。すぐにドアが開き、女が入ってきた。彼女の耳に青く光るイヤホンが見えた。
彼女は、私がここへ来た時、マシンのオペレーターをやっていた。かなりの美人だった。なぜここへきたのかは知らないが、この最近、見かけなくなったと思ったらそういうことだったのか。
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